■伝承が残る湧き水
〜涼(すず)みの御所(ごしょ)〜
今回家ジョの2人が訪れたのは、天竜区二俣町鹿島にある鹿島八幡宮(かじまはちまんぐう)です。
・今回訪れた場所 鹿島八幡宮
天竜区二俣町鹿島
(天竜浜名湖鉄道、遠州鉄道「西鹿島」駅から徒歩およそ10分)
◆二俣城が陥落。逃げ帰る道中で…
西鹿島駅の北西に位置する鹿島八幡宮には、湧き水でできた小さな池があります。この池には、1572(元亀(げんき)3)年、武田軍によって二俣城が攻め落とされた際、家康公が逃げる途中で寄ったという伝承があります。
◇『ふるさとものがたり天竜』(※1)より
大急ぎで向きを変えて浜松へ帰る途中、西鹿島八幡宮神社の森の中に、清らかな霊水があふれている湧水池(わきみずいけ)を見つけた。喉が渇いていた家康公は、馬をとめ、「ああ、うまい水じゃ」と腹いっぱい飲んだ後、馬のくらをそばの松の木の枝にかけて、馬にも水を与えて休ませた。それで湧水池付近一帯の土地を「涼みの御所」、家康が馬のくらをかけた松を「家康鞍(くら)かけの松」と呼ぶようになった。
松は現存していませんが、水は今でも湧き出ており、「涼みの御所」という地名も残っています。ちなみに八幡宮の近くには、昔、この地名を冠する涼ノ御所(すずみのごしょ)古墳がありました。古墳からは明治時代に金具が出土し、その金具は現在、国の重要文化財として神宮徴古館(じんぐうちょうこかん)(※2)に所蔵されています。
◆地元の人々も潤した湧き水
池の下流部は、四角く4段に仕切られています。これは、昭和30年代頃まで地域共同の飲み水や米洗い、野菜洗い、洗濯の水として使われていた名残りとのことです。
地域の人々が、湧き水を守りながら大切に使ってきたんだね。
※1上阿多古草ぶえ会、1987年発行。神社名は原文のまま表記しました。
※2三重県伊勢市にある、伊勢神宮の博物館。
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