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【特集】地域社会の共通言語「やさしい日本語」・2

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静岡県浜松市

■やさしい日本語研修リポート
市では、企業内におけるコミュニケーションの醸成を図るために、日本人従業員を対象にした、やさしい日本語研修を開催しています。
この研修を受講した(株)ソミック石川(南区古川町)教育担当者の保坂さんと、講師を務めた(公財)浜松国際交流協会の内山さんに、受講したきっかけや研修内容などについて聞きました。

▽研修を受講するきっかけは?
(保坂)外国人労働者が日本語による上司の指示をスムーズに理解できないことで、コミュニケーションが取れず、人間関係や業務上のトラブルなどが発生し、その結果、外国人労働者の労働意欲を低下させてしまうこともありました。これは、外国人労働者の日本語能力だけの問題ではなく、日本人労働者側の発話の問題もあるのではないかと考え、やさしい日本語を学んでみようということになりました。
▽研修内容と受講した社員の反応は?
(内山)日本語には直接的な言い回しを避けるなど、独特な表現方法があります。しかし、こうした表現は、外国人にとって日本語は難しいと感じてしまう原因になります。研修では、さまざまな言葉をやさしい日本語に変換してもらいながら、どういった表現が伝わらないのかを気付いてもらうこと、またどのような配慮や工夫をすることが効果的なのかを実感できるように心掛けています。
(保坂)やさしい日本語を学ぶことは、日本人にとって取り組みやすいことがメリットだと思っています。きちんとポイントを学ぶことで、多くの時間を費やすことなく身に付けることができます。また、やさしい日本語は、部下に指導するときや会議などでも使え、伝えたいことを簡潔に分かりやすく表現できる言葉だと思います。研修の成果が出ていると胸を張って言える段階には至ってはいませんが、以前に比べて社内でやさしい日本語というキーワードが飛び交うようになり、社員の意識も少しずつ変わってきたと思います。
▽今後に向けての抱負は?
(保坂)社員の多国籍化が進むと通訳や翻訳といった業務も増えてきますが、やさしい日本語が浸透していくことで、こうした業務のスリム化も期待できます。会社全体の成長には、コミュニケーションの向上は欠かせない取り組みです。今は日本語だけですが、今後はやさしい英語や、やさしい中国語などさまざまな言語が、社内で使われるようになることが理想ですね。
(内山)研修後に行ったアンケートには、今後のステップアップのためには外国人と一緒に研修を受け、実際に通じるかを確認したいという意見がありました。同じ場でお互いに確認することで、この言葉はこの表現に変えた方がいいとか、もっとゆっくり話すと理解できるなど、多くの気付きがあると思います。今後は、こうしたワークショップが企業でも取り入れられていくことが大切だと思います。

■やさしい日本語の作り方
やさしい日本語を作るために、重要な3つのポイント「情報」、「表現・言葉づかい」、「表記」について解説します。
1.情報
(1)優先順位の低い情報は削る
(2)重要な情報は前に持ってくる
(3)1つの文章は1つの意味にする
(例)マグニチュード7の地震が観測されました。津波が発生する恐れがあります。沿岸部にいる人は、すみやかに高台に避難してください

地震です。
大きな波がくるかもしれません。すぐに高い所に逃げてください。
◎日本語の教科書では「です・ます体」から教えるため「〜です。」「〜ます。」のような丁寧語の方が伝わりやすいです。

2.表現・言葉づかい
(1)漢語ではなく和語にする
不可能→することができません
(2)受け身形や使役表現は使わない
田中さんは鈴木さんに助けてもらいました→鈴木さんが田中さんを助けました
(3)二重否定は使わない
通れないことはないです→通ることができます
(4)曖昧な表現は使わない
9時くらいに来てください→8時50分から9時のあいだに来てください

3.表記
(1)漢字には全てルビ(ふりがな)を振る
市役所(しやくしょ)の国際課(こくさいか)に電話(でんわ)してください
(2)3つ以上のことを言うときは、箇条書きや番号を振る
申請方法は、窓口にお越しいただくか、ホームページで申し込むか、メールでの送付のいずれかです

・窓口(まどぐち)での申(もう)し込(こ)み
・ホームページでの申(もう)し込(こ)み
・メールでの申(もう)し込(こ)み
(3)文節の切れ目ごとに余白を設ける
ここではきものを脱いでください→ここで はきものを 脱(ぬ)いでください

◆やさしい日本語研修を受講してみませんか?
「指示が伝わっていなかった!」「返事があったのに勘違いされていた!」こういった悩みはありませんか?
やさしい日本語研修では、平易な言葉で要点をゆっくり伝えるノウハウが学べます。日本語を使うときの意識がほんの少し変わるだけで解決できることがたくさんあります。
内容:
ステップ1.なぜやさしい日本語が必要なのか?
ステップ2.やさしい日本語とは?
ステップ3.やさしい日本語と異文化理解
ステップ4.実践!やさしい日本語へ変換
対象:日本人社員(外国人社員と一緒にグループワークをすることもできます)
人数:20人程度
形式:ワークショップ主体の座学
時間:2時間(1回)
※オンライン対応も可能です。

〇研修の詳細はこちら
【HP】「浜松市外国人学習支援センター」で検索
※研修用の実践動画の一部を視聴することができます

問合せ:浜松市外国人学習支援センター(U-ToC)
【電話】592-1117

■「やさしい日本語」の作成に役立つ便利なツールを紹介します!
【リーディングチュウ太】
言葉の難しさをチェックしてくれます!
(1)調べたい文をテキストボックスに入力する
(2)「語彙(ごい)」ボタンをクリックする
(3)結果が出る(日本語能力試験基準でレベルを知ることができます)
【やさしい日本語チェッカー】
やさしい日本語かどうか判定してくれます!
(1)調べたい文をテキストボックスに入れる
(2)「診断」ボタンをクリックする
(3)結果が出る(難しかったポイントがすぐに分かります)
【別冊やさしい日本語書き換え例】
「生活・仕事ガイドブック(やさしい日本語版)」に出てくる用語の書き換え例をまとめたもの(出入国在留管理庁・文化庁)

◎この特集に関する問い合わせは、国際課へ(【電話】457-2359)

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