民生委員・児童委員という言葉を聞いたことはあっても、実際の活動や内容は知らない人も多いのではないでしょうか。今月の特集では、市民の立場に立って、地域の福祉を担う民生委員・児童委員の歴史や活動などを紹介します。
■民生委員・児童委員とは
民生委員は、民生委員法に基づき、厚生労働大臣から委嘱された非常勤の地方公務員です。給与の支給はなく(無報酬)、ボランティアとして活動しています。任期は3年で再任が可能です。また、活動上知り得た情報について守秘義務が課せられていて、児童福祉法に定める児童委員を兼ねることとされています。担当地域で活動する地区担当民生委員・児童委員と児童福祉に関することを専門に関係機関と連携・協力する主任児童委員がいます。
浜松市では、134人の民生委員・児童委員が、地域の身近な相談相手として活動しています。
▽浜松市の民生委員・児童委員
(令和4年12月1日現在)
■民生委員制度の歴史
民生委員制度の源とされるのが、1917(大正6)年に岡山県で誕生した防貧(ぼうひん)制度「済世(さいせい)顧問制度」です。翌年の1918(大正7)年には、大阪府で地域住民の生活状況を把握し、救済を行うことを目的とした制度「方面委員制度」が創設され、その後、同様の制度が他の府県などでも相次いで創設され全国に普及しました。そして、1946(昭和21)年の民生委員令の公布により名称が「民生委員」に改められ、1948(昭和23)年の児童福祉法の施行により児童委員を兼ねることとなりました。
これまで民生委員・児童委員は、生活困窮者の支援に取り組むとともに、時代の変化に応じた活動に取り組むなど、地域福祉の推進にとても重要な役割を果たしています。
▽民生委員制度の略歴
・1917(大正6)年
岡山県で済世顧問制度が創設されました。済世顧問は、貧困を防ぎ、人々の自立した生活を促しました。
・1918(大正7)年
大阪府で方面委員制度が創設されました。方面とは地域を意味します。各地域を担当する委員が地域の状況把握や救済が必要な人の支援を行いました。
・1936(昭和11)年
方面委員令が公布され、全国統一の制度として運用されました。
・1946(昭和21)年
民生委員令の公布により名称が民生委員に改められました。民生とは国民の生活、生計を意味します。
・1948(昭和23)年
民生委員法が公布されました。また、児童福祉法の施行により児童委員を兼ねることとなりました。
・2000(平成12)年
民生委員法の改正により、これまで名誉職とされていた規定が削除され、民生委員・児童委員は「住民の立場に立った支援者」であるとされました。
・2001(平成13)年
児童福祉法が改正され、主任児童委員が法定化されました。
・2017(平成29)年
民生委員制度創設100周年を迎えました。
■どんな人が民生委員・児童委員になっているの?
特別な資格を持っている人が民生委員・児童委員になるわけではありません。担当する地域の住民で、その地域の実情をよく知り、福祉活動やボランティア活動などに理解と熱意があるなどの要件を満たす人が民生委員・児童委員になっています。
また、民生委員・児童委員に委嘱されるまでには次の手順を経る必要があります。
▽委嘱までの流れ(略図)
地域(自治会)
↓推薦
浜松市(民生委員推薦会)
↓推薦
浜松市(社会福祉審議会)
↓推薦
国(厚生労働大臣)
↓委嘱
民生委員・児童委員
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