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【連載】はままつ文化財の散歩道

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静岡県浜松市
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■第17話 秋葉信仰の道をたどる
秋葉山への参詣道を示したさまざまな古図を見ると、秋葉山を中心にクモの巣のように道が張り巡らされ、遠江では「すべての道は秋葉山に通じる」とまで言われるほどの広がりが見られます。起点となる東海道の掛川宿や袋井宿、浜松宿、そして三河の鳳来寺から延びる道筋はそれぞれ9里(およそ35km)で坂下宿の入口である九里橋(くりばし)にたどり着きます。これらの道筋に多く残る秋葉山常夜灯やその鞘堂(さやどう)(竜燈(りゅうとう))の数は1000を超え、今でも住民による明かりの点灯、年中の祭礼行事が続く地域もあり、秋葉信仰の広がりと常夜灯への愛着が感じられます。
九里橋を渡り坂下宿を抜けると表参道である50町(※)の登山道に入り、険しい山道を登り終えると、秋葉神社の神門が参詣者を出迎えます。令和2年度から解体修理中の神門では、現在、建物に取り付けられていた彫刻が外され、修復を受けています。
神門の彫刻は江戸時代後期に、幕府から「内匠(たくみ)」の称号を与えられていた信州上諏訪の立川流(たてかわりゅう)二代目、立川和四郎富昌(たてかわわしろうとみまさ)率いる立川流の彫刻師によって施されました。中でも柱上部に取り付けられる「力人(りきじん)」「獅子」「虎」の造形は迫力があり、獅子と力人が力強く屋根を支え、その横で虎が前方を見据えています。修復では、欠けや割れ、無数の虫害の痕を丁寧に埋めて古色を施し、元の姿を取り戻しています。再び柱に取り付けられる時が楽しみです。
また、欄間に取り付けられる「迦陵頻伽(かりょうびんが)」の優雅さも一見の価値があります。いずれも一木(いちぼく)から彫り出されたもので、江戸時代後期に多くの名作を残した立川流らしい芸術性の高さが見られます。迦陵頻伽の修復では、一木の厚みを生かし、天人の羽を4層に彫り分けて立体感を出し、羽先は透かして軽さを出しているほか、腕は裏側まで彫られていることが分かりました。この修復では、諏訪市博物館を訪ね、博物館所蔵の天人が描かれた立川流の下絵図を確認するなど、忠実な修復となるよう情報収集もされています。
秋葉山への道は長野県の飯田市や諏訪湖付近からも通じています。神門建築当時の彫刻師も秋葉山への道をたどり建築に関わったと想像すると、感慨深いものがあります。
神門の解体修理は、建物の大部分が組み上がり、彫刻の取り付けを待ちつつ、仕上げ段階に入っています。来年の春頃には修理が完了した神門を見ることができるようになります。
(文:浜松市文化財課)
※1里=3,927m、1町=109m。
本来50町は5.45kmですが、実際の登山道は4.6kmほどです

▼秋葉信仰の道については、市の計画書でも紹介しています。
【HP】「浜松市歴史的風致維持向上計画」
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/tochi/rekimachi/keikaku.html

【HP】「浜松市文化財保存活用地域計画」
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/bunkazai/chiikikeikaku/chiikikeikaku.html#keikakusho

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