■森林に新たな価値を
浜松市は全国の市町村の中で2番目となる、非常に広い市域を誇っています。そして、そのおよそ66%、10万ヘクタールが森林です。
本市の森林の特徴としては、私有林、特に人工林が多くを占めていて、スギやヒノキの割合が高くなっています。中でも、天竜区などに広がる森林は「天竜美林」と呼ばれ、日本三大人工美林の一つと称されています。
本市では、価値ある森林を共創するため、持続可能な森林経営・管理、森林でつながる循環型社会、森林と触れ合う市民の快適生活を目標として林業振興の取り組みを進めています。その取り組みの一つが「FSC(R)認証」の取得です。「FSC認証」とは、持続可能な森林の活用・保全を目的とした制度で、森林が環境に配慮して適切に管理されているか、違法伐採されていないかなど、国際基準に沿って審査されます。浜松市では2010(平成22)年に「FSC認証」を取得し、これまでにおよそ5万ヘクタールの森林が認証を受けていて、市町村別認証取得面積は全国1位となっています。
また、市内の製材工場などおよそ70事業体で「CoC認証」も取得しています。「CoC認証」とは、製材、加工、建築などの事業者を対象としてFSC材の適切な管理・加工を認証する制度です。これにより、本市は丸太の産出だけでなく、建築物や家具、雑貨などFSC認証製品を作るサプライチェーンが全国で最も充実した地域の一つとなっています。
本市のFSC認証材は、その供給能力の高さを評価され、東京2020オリンピック・パラリンピック大会の関連施設で使用していただきました。また、市内の学校などの公共施設や企業でもFSC認証材が使われていて、最近では、佐鳴台保育園で、FSC認証材を使った建て替えを行いました。さらに、今年の大阪・関西万博には、ポップアップステージを飾る丸太として提供しています。このように、市内外のさまざまな施設で木材を使うことにより、「FSC認証」を受けた天竜材の魅力を広く知っていただき、地産地消や地産外商につなげていきたいと考えています。
さらに、本市の森林によるCO2などの吸収量をクレジット化することで、木材生産以外の新規ビジネスの創出に向けた取り組みにも力を入れていきます。
このように、森林の新たな価値を生み出すとともに、環境と共生する持続可能な都市を目指していきます。
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