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特集 重要文化財指定 博物館で特別展を開催 伊場遺跡群出土品を見に行こう(2)

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静岡県浜松市

◆中学生時代に伊場遺跡で土器を発見した小林豊明さん(市内在住)に、当時の様子と伊場遺跡への思いを教えてもらいました。
▽田んぼの中に土器が!
中学生の頃、田んぼで親の手伝いをしていた時に土器が足に当たったり、戦時中の艦砲射撃の跡が池になっている場所で土器を目にしたりしていました。それを当時通っていた西部中学校の先生に伝え、見つけた場所へ先生と友人を連れて行くと、田んぼのあぜ道で「鰭付壺(ひれつきつぼ)」と後に呼ばれる土器を見つけました。
それを先生が國學院大學の教授に見せたところ、間もなく発掘調査が行われ、弥生時代の集落遺跡であることが分かりました。

▽後世に伝えてほしい
見つけた土器が遺跡発見のきっかけとなり、今回、重要文化財に指定されたということで、当時のことはとても良い思い出となっています。
これまでも多くの人々が関わって遺跡や出土品が残されてきましたが、これからも後世に永く伝えられていけばうれしく思います。

■博物館学芸員が答える伊場遺跡群出土品 QandA
◇発見から重要文化財指定まで70年以上もかかったのはなぜ?
最初の発見以降も伊場遺跡の発掘調査が続けられました。周辺にも同じ時代の遺跡の存在が分かり、遺跡群全体で大小含めると100回を超える発掘調査が行われています。
こうした調査の積み重ねにより、弥生時代の人々のさまざまな生活の様子が次第に明らかになり、今回の605点の指定につながりました。

◇1900年近くもの長い間、木製品が土の中で残ったのはどうして?
地上や浅い土の中では、多くの場合、微生物の活動によって木は分解されてしまい残りません。
しかし、低湿地の遺跡である伊場遺跡群は、水分を適度に含んだ厚い粘土層に覆われており、微生物の活動に必要な酸素が遮断されていたため、木製品が真空パックのような状態で残っていました

◇木甲はどのような素材を使って赤く塗られているの?
ベンガラと朱という2種類の顔料が使われています。その2種類のうち朱は、原料となる鉱物が限られた場所でしか採れない、貴重なものでした。

特別展のギャラリートークや講座などで出土品の解説をします。興味のある人は、参加してみてはいかがでしょうか。

■地域や学校で広がる 伊場遺跡を知り、伝えていく活動
最初に土器を発見した小林豊明さんの母校の市立西部中学校(中央区鴨江二丁目)では、1996(平成8)年に、創立50周年を記念して伊場遺跡発見を題材にした演劇が催されました。小林さんや先生が土器を見つけた当時の様子が描写された台本が残っています。(博物館蔵)

市立県居小学校(中央区東伊場二丁目)の学区内に伊場遺跡公園があり、毎年3年生が総合的な学習の時間「県居大好き」で探検に出かけています。また3、4年生は遠足でも訪れ、公園で弁当を食べたりミニウオークラリーをしたりして楽しく過ごしています。

◇今後の講座や見学会
・特別展関連事業 講座×ギャラリートーク
2026(令和8)年1月10日(土)10:00〜14:00
会場:市立城北図書館(中央区和地山二丁目)および博物館
申込:[窓口・電話]12月8日(月)から城北図書館(【電話】474-1725)へ

・天竜川・浜名湖地域合併20周年記念
連続講座「紀元2世紀の浜松を考える」
第9回座談会「伊場遺跡とは何か」×伊場遺跡見学会
2026(令和8)年1月12日(月)9:30〜14:30
会場:市立西図書館(中央区西伊場町)および伊場遺跡公園
申込:[窓口・電話]12月3日(水)から西図書館(【電話】456-3379)へ

■散歩しよう 鑑賞しよう おでかけスポット情報
伊場遺跡に親しめる公園や、弥生時代の出土品を観覧できる施設を紹介します。

◇伊場遺跡公園
伊場遺跡の一部が公園になっています。細長い園内には往復1kmの散歩道があり、弥生時代に集落を囲っていた環濠や、奈良・平安時代の建物(復元)などが並んでいます。当時の景色を想像しながら歩いてみてはいかがでしょうか。
中央区東伊場二丁目(駐車場あり)
※常時開園

https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/hamahaku/09annex/iba_park.html

◇姫街道と銅鐸の歴史民俗資料館
近隣地域から出土した銅鐸のほか歴史民俗資料を展示しています。銅鐸は弥生時代を代表する青銅器であり、農耕に関わる祭祀(さいし)に用いられたと考えられています。
浜名区細江町気賀1015-1
【電話】523-1456
開館時間:9:00〜17:00
休館日:月曜日(祝日は開館)、祝日の翌日、年末年始

https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/hamahaku/09annex/hakubut03.html

◇地域遺産センター
2026(令和8)年2月1日(日)まで開催中の企画展「はままつの文化財20年のあゆみ」で、伊場遺跡群の一つである梶子遺跡の出土品(壺など)を展示しています。
浜名区引佐町井伊谷616-5
【電話】542-3660
開館時間:9:00〜17:00(最終入館16:30)
休館日:月曜日(祝日は開館)、祝日の翌日、年末年始

https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/bunkazai/maibun/index.html

◎この特集に関するお問い合わせは、博物館(【電話】456-2208)

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