■特技を磨けば夢が生まれ!夢を諦めなければ夢は叶う!
衣笠明宏さん(60歳)
(競技:陸上長距離)
兵庫県立西脇工業高等学校出身
本田技研工業(株)浜松製作所陸上競技部(14年間所属)
(株)ユタカ技研女子駅伝競走部の監督(13年間)
監督退任後は、市民ランナーのためのランニングクラブの監督をはじめ、ボランティアで若手アスリートの育成活動に従事するなど、後進の育成に尽力。
現在は損害保険ジャパン(株)に勤務する傍ら、講演活動やマラソン大会のペースメーカーなどを務めている。
今月は、陸上の長距離選手として実業団で活躍し、その後実業団の女子駅伝競走部の監督を務められた衣笠明宏さんに、アスリートの育成・サポートについて、お話しを伺いました。
◇選手を指導していて、伸びる選手と伸びない選手の違いは何だと感じていましたか。
その競技(スポーツ)が本当に好きで楽しいと選手自身が思っているかどうかがとても大切だと思います。どんなにいい記録を持って入部してきた選手でも、練習をさせられていると思っている間は、記録が伸びない傾向にありました。
アスリートに限らず、人は好きなことや楽しいことに対しては、時間を忘れてしまうほど熱中し、またチャレンジ精神も生まれてきます。競技に向き合う姿勢も同様で、その競技が大好きで、練習をしているときや、試合のことを考えているときが楽しいと思うことができれば、どんな困難も乗り越えようとする選手に成長していくと思います。
◇競技者として長く現役で活躍していくために必要なことは何だと思いますか。
コンディショニング作りがとても大切だと思います。長距離選手の中には、無理な体重管理を続けた結果、骨密度が低くなり、疲労骨折を繰り返し発症してしまう選手が多くいます。せっかく期待されていても、けがの連続で満足な結果を残せないまま引退してしまう選手を多く見てきた経験から、実業団の監督時代には、医療機関などと連携して、貧血のチェックをはじめとした、さまざまなメディカルチェックと栄養管理を徹底して行っていました。
また、練習前には必ず30分のセルフコンディショニングチェックを行い、日々の体の変化に選手自身が気付くことができるようにしていました。自己管理能力が高まることで、選手の意識や日頃の行動なども変わっていくようになりました。
◇実業団の監督として、常に心掛けていたことを教えてください。
競技者として選手の人生を豊かにするのは指導者次第です。そこで監督時代はは「※サーバントリーダーシップ」を心掛けてチーム作りをしていました。
監督が怖くて、言われるがままに練習をしてきた選手と、気軽に監督に話しかけることができる環境で練習してきた選手では、練習に対する取り組む気持ちが全く違います。選手のことを親身になって考え、そして、どんなときも一緒に取り組んでいくことで選手との信頼関係が構築されていくと信じています。
私が実業団の監督に就任したのは25年以上も前のことです。当時は支配型指導が当たり前の時代でしたので、アスリートファーストを掲げていた私は、周囲から見ると異端児に見えていたかもしれませんが…。
◇目標に向かって頑張っているアスリートにメッセージをお願いします。
競技を続けていくうえで大事なことは「他喜力」を持っているということ。他喜力とは、他人を喜ばす能力を意味していて、自分を支えてくれている人たちを喜ばせたい、多くの人に感動や勇気を与えたいという気持ちを持ち続けることが、夢が叶うための第一歩だと思います。
そして、もう一つの大事なことは、成功した自分を描けること。トップアスリートとは、素質がある選手だと思っている人が多いと思いますが、私が思うトップアスリートとは、将来の目標を達成する自分を思い描けるイメージ力が他の人よりも優れている選手だと思っています。そのイメージ力が低い人ほど心理的限界(できないと思ったところ)が早く訪れます。努力家の人ほど限界だとは言いません。真の限界は、自分が「もう限界」と思ったはるか先にあるのです。
※サーバントリーダーシップとは、部下などに対して指示や命令をするのではなく、奉仕したうえで、目標を達成できるよう主体的な行動を促すリーダーシップのこと
モットー:笑顔!
座右の銘:限りなき前進
自己PR:マラソンで培ってきた最後まで諦めない気持ちは誰にも負けません
浜松市公式noteでも「LOVE SPORTS」を読むことができます。
紙面に載せきれなかった話も紹介しています。
https://hamamatsu-city.note.jp/m/m35a456cb5613
<この記事についてアンケートにご協力ください。>