介護の仕事と聞いて皆さんはどのようなことをイメージしますか?
今月号では少子高齢化の影響などにより需要が高まっている介護の仕事の魅力や、介護人材確保のための取り組みなどについて紹介します。
■介護の仕事とは?
介護の仕事は支援の必要がある高齢者や障がいのある人などが、その人らしい暮らしを実現するためのサポートをする仕事です。主な仕事内容は食事や入浴の介助などの身体に直接接触して行われる「身体介護」と、身体介護以外で日常生活を営むことを支援する「生活支援」で、その内容は多岐にわたり、施設の種類などによっても異なります。
■介護の仕事の職種
代表的な4職種を紹介します。
◇介護職員
高齢者施設などで食事、入浴などの介助やレクリエーション、外出支援など日常生活全般の介助を行います。
◇ホームヘルパー(訪問介護員)
主に自宅で暮らしている支援の必要がある人を対象とし、自宅などに訪問して食事、入浴などの介助や掃除、洗濯、調理などを行います。
◇ケアマネジャー(介護支援専門員)
介護サービスに関する相談対応やケアプラン(支援の必要がある人やその家族の希望をふまえ、支援の方針や解決すべき課題、提供される介護サービスの目標と内容などをまとめた計画書)の作成などを行います。
◇生活相談員・支援相談員
支援の必要がある人が高齢者施設などで生活するための各種相談への対応や、関係機関との調整などを行います。
■介護の仕事の需要は今後ますます高まっていく
厚生労働省「介護職員数の推移」によると、介護職員数は2000(平成12)年度にはおよそ55万人でしたが、2021(令和3)年度にはおよそ215万人と増加しています。しかし、少子高齢化の影響などもあり、介護職員の必要数には追いついていません。厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」によると、2025(令和7)年度にはおよそ243万人、2040(令和22)年度にはおよそ280万人の介護職員が必要とされていることからも、今後ますます介護の仕事の需要は高まっていくと考えられます。
◇国内における介護職員数の推移と今後の必要数
※2000(平成12)年度と2021(令和3)年度は、厚生労働省「介護職員数の推移」参照、2025(令和7)年度以降は厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」参照
■介護の仕事に就いた理由と魅力
◆INTERVIEW 1
介護のプロフェッショナルに私はなりたい!
特別養護老人ホーム第二南風
介護職員 鈴木明日香(すずきあすか)さん
Q.介護の仕事に就くきっかけは?
A.私が中学生くらいのころに祖母の持病が悪化して、祖父が祖母の介護をするようになりました。祖母はだんだんと衰弱していくし、祖父は介護の疲れから強い口調になることも増えてきました。そんな状況を見て、何もできない自分がもどかしくなって、介護について学んで大好きな祖父母の支援をしたいと思ったのがきっかけです。結果として祖母の介護をすることはかないませんでしたが、祖母の「介護の仕事をするなら、相手のことを考えて優しくしてあげてね!その気持ちは必ず伝わるから」という言葉を胸に介護の仕事を極めたいと思っています。
Q.介護の仕事の魅力は?
A.何十年という人生を歩んできた人たちが最期の瞬間までその人らしく生きられるように、自分なりに考えて支援できることが魅力だと思います。真剣に考えて支援をしていると、その気持ちは相手にちゃんと伝わっていて、笑顔やありがとうといった言葉になって返ってきます。そんな言葉を聞くともっとがんばろうと思います。
◆INTERVIEW 2
介護の質をあげてイメージを変えていきたい
特別養護老人ホーム第二南風
施設長 川島理恵(かわしまりえ)さん
Q.介護の仕事に就くきっかけは?
A.母と福祉系の大学に通っていたアルバイト先の先輩から勧められて介護の仕事に就きました。
Q.介護の仕事の魅力は?
A.人とのつながりの大切さや感謝の気持ちを直接感じられることはもちろんですが、高齢者やその家族などと関わる中でさまざまな価値観に触れ、成長し、自分の人生の厚みが増していくことも魅力だと思います。
そのほかにも、私のように介護のことを何も知らないで就職しても、やる気を持って知識をつけたり、資格をとったりすれば、キャリアアップすることができるのも魅力だと思います。
Q.これからの目標は?
A.介護の仕事を極めるための努力を続けるとともに、1人でも多く介護のプロフェッショナルを育てることで、介護の仕事に対するネガティブなイメージを変えていきたいです。介護の仕事は高齢者などが必要とすることを探し出して支援することで、生活を豊かにできる魅力的な仕事です。
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