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【鈴木康友市長に聞きました】鈴木康友市政の16年を振り返る

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静岡県浜松市

2007(平成19)年5月1日に浜松市長に就任してから16年。4月30日をもって市長を退任するにあたり、鈴木康友市長に16年の市政運営を振り返ってもらいました。

■この16年で浜松市がどのように成長してきたと感じていますか?
浜松市は12市町村が合併したことによって、あらゆる自然条件や産業など、日本をギュッと縮めた国土縮図型都市となりました。また、半分以上が過疎地域で、道路延長も長くて、多くのインフラを抱えていますので、行政コストが莫大(ばくだい)にかかってしまう、政令指定都市20市の中でも特異な存在だと思っています。
しかし、全国の多くの自治体が抱える課題を凝縮した浜松の市政運営が成功すれば、全国の自治体のモデルになれるという思いで、この16年間市政運営を行ってきました。
そこで、私がまず取り組んだのが、財政の健全化と行財政改革でした。さまざまな取り組みの成果もあり、現在の財政状況は、政令指定都市の中でもトップクラスです。
また、大都市圏にある自治体に比べて決して恵まれた環境にあるとは言えない浜松が、デジタルなどさまざまな分野で日本をリードする自治体になることができています。そういった意味では、市長に就任した当時の思いが実現しつつあると思っています。

■就任時に、これは絶対にやり遂げると誓ったものがあったら教えてください
先ほども述べましたが、行財政改革と産業政策の二つが大きな柱でした。
行財政改革については、行財政改革推進審議会の答申を受けて、職員の定員適正化や外郭団体改革、補助金の見直しや公共施設の統廃合などを進めてきました。そして最後の大きな宿題が行政区の再編でした。そういった意味では、おおむね宿題を終わらせることができたかなと思っていますし、やりきった感はあります。
大都市近郊でもない地方都市・浜松が発展できたのは、産業のおかげにほかなりません。産業政策は浜松にとって命です。これまで進めてきた施策も花が開きつつあります。
地域経済を持続的に発展させていくためには、今後も継続的な取り組みが大切ですが、私の任期中に一定の方向性を作り出すことができたと思っています。

■特に印象が強かったことはどんなことですか?
2005年の12市町村による合併については、17年以上経った今でも、さまざまな意見があると思いますが、私は市町村合併をしてよかったと思っています。その一つが林業の再生です。
国産材の価値を高め、天竜の森林を宝の山にするという理念のもと動き出したわけですが、マーケットが80万人に拡大しましたし、FSC認証の取得や東京オリンピック施設への売り込みなども、合併したからこそできたことだと思っています。その結果、天竜材の付加価値やブランド力を向上させることに成功し、浜松全体で天竜材を支えることができています。
合併によって不便になったこともあるとは思いますが、合併しなければできなかったこともたくさんあります。その象徴が林業の再生だと思っています。

■これからの浜松市に期待することを教えてください
国では、デジタルの力で全国どこでも、誰もが便利で快適に暮らせる社会を目指す「デジタル田園都市国家構想」を進めています。
国がこの構想を掲げる前から、あらゆる自然がある浜松は、すでに田園都市ができあがっています。デジタルの力を活用して利便性を向上し、街の機能を高めていけば、日本をリードするデジタル田園都市になれるはずです。
2023年度予算のキーワードは、デジ田先導予算です。このチャンスを逃すことなく、進んでいってほしいと思います。

■市長退任後に、何かしてみたいことはありますか?
衆議院議員時代を含め、市長に就任してからもずっと走り続けてきました。元来、じっとしていることが苦手な性分ですが、市長を退任したら、時間的な余裕が少しできると思っています。
長い間、私の活動を支え、共に走ってくれた妻への感謝の気持ちとして、一緒に温泉旅行にでも行きたいと思っています。

◆4期16年の市政運営で特に重視してきた取り組み
○財政健全化・行財政改革
・市債(市の借金)残高(2021年度末)を、およそ1300億円削減
・市の職員数を2022年度末までに1319人削減
・公共施設を656施設削減し、年間維持管理経費を35億円削減

○産業政策
・中小企業の次世代自動車部品の技術開発や技術マッチングなどを支援する「次世代自動車センター浜松」を設立(2018年4月)
・市内スタートアップに対して資金を支援する「ファンドサポート事業」を立ち上げ(2019年4月)
・内閣府から「スタートアップ・エコシステムグローバル拠点都市」の認定を愛知県と名古屋市とともに受ける(2020年7月)
・企業誘致活動により、新規立地件数が320件(2007年度〜2022年度)
・新たな工場用地として開発した「第三都田工場用地」が2021年度に全13区画完売
・「FSC森林認証(国際的な森林認証制度)」で市町村別認証取得面積全国1位(2023年3月末現在49537ha)
・もうかる農業への転換に向け、農業経営塾の立ち上げ(2015年10月)

○シティプロモーション
・浜松を「出世の街」として発信(出世大名家康くんが、「ゆるキャラ(R)グランプリ2015」でグランプリを獲得)

■市民の皆さんへのメッセージ
〜これからの浜松のさらなる発展を願って〜
浜松市は、市民の皆さんの健康寿命が長く、政令指定都市の幸福度ランキングでも第1位を獲得するなど、とても住みやすくていい街です。
東京などの都市部に住んでいる人たちの間でも、とても評価が高く、「浜松は自然もたくさんあっていいところですね」、「都会の利便性と美しい自然を同時に楽しめ、暮らしやすそうな街ですね」とよく言われます。
しかし、住んでいる私たちが浜松の良さに気付いていないのではないかと思うこともあります。
浜松をつくるのは市民の皆さんです。市民一人一人が、自分が住んでいる街・浜松を愛し、そして誇りを持ってほしいと思います。外の人からのヒントも参考に、浜松の良さを大事にしながら街づくりに取り組んでいってほしいと思います。
浜松には先人が培ってきた、何事にも果敢に挑戦する「やらまいか精神」があります。県庁所在地でもなく、大都市近郊でもない地方都市・浜松が、国内有数の産業都市として成長し、政令指定都市の仲間入りができたことは、誇るべき発展の歴史です。「やらまいか精神」を忘れず、何事にも常に前向きに挑戦していってほしいですね。
市長在職中の16年間、市民の皆さんには市政運営にご協力いただき、誠にありがとうございました。

○鈴木康友市長
在職期間:2007(平成19)年5月1日〜2023(令和5)年4月30日
(在職期間16年は歴代3位)

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