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【連載】はままつ文化財の散歩道

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静岡県浜松市

■第22話 文化財を生み出す技術〜無形文化財とその保持者〜
文化財保護法では、文化財を有形文化財、無形文化財、民俗文化財、記念物、文化的景観、伝統的建造物群と定義しています。今回はその中から「無形文化財」について紹介します。
無形文化財は、その名のとおり形の無い文化財のことで、古くから守り伝えられてきた技術そのものを指します。具体的には、陶芸や漆芸(しつげい)、染色などの工芸技術と、能や歌舞伎、雅楽などの伝統芸能の技能があります。ちなみに、民俗芸能や民俗技術、年中行事などは無形の「民俗文化財」として、無形文化財とは区別されています。
無形文化財の指定には必ず、その技の保持者または保持団体の認定が伴います。「人間国宝」は国が指定する重要無形文化財の保持者の通称として、一般に広く知られています。では、浜松市の指定無形文化財にはどのようなものがあるのでしょうか。
浜松市の無形文化財指定第一号は一九五八(昭和三十三)年の浜松張子(はりこ)で、二橋志乃(にはししの)さんが技の保持者として認定されました。浜松張子は、志乃さんの父にあたる初代が明治の初めにつくりだしたもので、江戸時代からの手法の中に独自の風格を保つ優雅な郷土玩具として、全国の郷土玩具愛好家をはじめ多くの人に親しまれ、愛されてきました。
一九七七(昭和五十二)年には木櫛(きぐし)手作り技術が指定され、保持者として松山鉄男さんが認定されました。江戸時代の技法を継ぐ木櫛手作りを正しく体得し、今日に伝えるものとして、その作品と共に貴重な価値があると評価されました。
これらの2件は過去に指定されていたもので、現在は浜松市指定の無形文化財はありません。無形文化財は、技の保持者が亡くなると同時に指定が解除されるからです。指定された技を永く後世に伝える措置として、保持者の技は映像として記録され、技により生み出された作品群は浜松市博物館の収蔵品として大切に保存されています。
浜松市では、平成二十八年度から指定文化財や登録文化財の制度とは別に、緩やかな保護・活用を図るため浜松地域遺産認定制度(通称:認定文化財制度)を導入しました。六年目となる令和三年度には、浜松菊花会を保持団体とした「浜松の大菊栽培技術」を、無形文化財として初めて認定しました。この制度により、知られざる文化財が郷土の宝として認められ、大切にされることで、後世への継承や、将来の無形文化財指定候補の選定へとつながっていくことを期待しています。
(文:浜松市文化財課)

張り子のおばあさん
https://www.youtube.com/watch?v=87WDas8FQkg&list=PLpoFSleePqNPA6ZlcRiOVjPUno1lSDpx-&index=24
櫛(くし)に生きる
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◎なつかしの市政映画は、YouTube「浜松動画チャンネル」で視聴できます
【市HP】「なつかしの市政映画」で検索

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