• 今日23/13
  • 明日25/15
文字サイズ

【特集】これからの地域産業を担うIT人材の育成・1

5/33

静岡県浜松市

浜松市では、地域産業の発展に貢献する人材を育成するため、小・中学生を対象にした理数・IT英語などの特別課外講座の開催や、高校生を対象にした高度理数系人材の育成に取り組んでいます。
またロボットのプログラミング技術などを競う全国大会の開催を浜松に誘致するなど、今後のデジタル社会を担う子供たちの支援を行っています。

■先端デジタル技術の飛躍的な進展
第4次産業革命とも呼ばれるIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などのデジタル技術の進化は、少子高齢化や人口減少など、今日の日本が抱える社会課題の解決に資することが期待されています。

■生活の質の変化
デジタル技術は、私たちの暮らし方も大きく変えています。材料や調味料を入れてセットするだけで料理が完成する調理家電や、スマートフォンで外出先からエアコンや窓シャッターなどを遠隔操作できるシステムなども、デジタル技術の進化によるものです。

■次代を担う子供たちの才能を伸ばす取り組み
一方で、こうしたデジタル技術に対応するIT人材の不足が大きな課題となっています。
2019(平成31)年4月に経済産業省が出した試算によると、ITスキルと知識を使ってシステム開発や導入などを行うIT人材が、2030年には最大で79万人不足することが見込まれています。
こうした中、ものづくり企業が集積している浜松市では、これからの産業はITの利活用が必要不可欠であると考え、産・学と連携して、今後の地域産業を担う人材の育成に取り組んでいます。
▽市の取り組み
・2009年〜小・中学生 トップガン教育
「ひとりひとりの得意を特異に伸ばす教育システムの確立」に向けた長期人材育成として、算数ゲーム大会などを開催
・2010年〜小学5〜6年生・中学生 ダヴィンチキッズプロジェクト
専門家の助言指導を受けながら自身の研究テーマを探求するほか、地域の自然や産業体験、物理などの実験、観察などの講座を開催
・2012年〜小学3〜6年生・中学生 ITキッズプロジェクト
ロボット組み立て、ロボット制御プログラミング、ITに必要な算数・理科・英語の習得など体験型・実践型の講座を開催
・2022年〜高校生 次世代理数系人材育成事業
数学の応用事例や世界トップレベルの3次元形状処理ソフトウェアなどの技術を体感する講座や高校生対象の数学コンテストを開催

◆世界と競える技術者の育成〜ITキッズプロジェクト〜
浜松市では、地域産業の発展に貢献する人材と、世界と競えるIT脳を持った技術者の育成を目的に、産(浜松ソフト産業協会をはじめとする地元企業)、学(静岡大学)と連携して、小・中学生を対象にしたIT講座「ITキッズプロジェクト」を開催しています。
講師は、地元のIT企業の役員や社員の皆さんが務め、数学力や科学力、英語力などを総合的に養えるカリキュラムで構成されています。
子供たちの科学に対する好奇心や探究心を高めることを目指し、レゴロボットを使ったロボットプログラミングや、iPadを使ったかけ算チャレンジなど、子供たちが興味を持って取り組める内容となっています。
この講座は、継続的な取り組みを通して技術系職種を志向する子供を育成していくため、卒業まで継続して受講できる小学3年生と中学1年生を対象に、毎年度募集しています。
※2022(令和4)年度の募集は終了しています

https://itkids.jp/project/

▽【interview】ITキッズプロジェクトを受講していた佐治さんと、講師としてプロジェクトに関わり、技術者の育成に尽力されている堀内さんにお話を聞きました
・その達成感が面白い
小学3期生・中学2期生卒業生佐治由洋(さぢよしひろ)さん(浜松北高校2年生)
小さい頃からロボットの組み立てに興味がありました。組み立ての途中で少しでも不具合があると動きがおかしくなります。その不具合を試行錯誤しながら解決し、思った通りに動いてくれたときの達成感がとても面白いのです。
小学3年生の時から参加したITキッズでも、与えられた課題を自分で切り開くための視点を持つこと、それを自分の力で解決することがとても大切だということを教えていただきました。
小学生のときにWROの全国大会で優勝して世界大会に出場したのですが、競技を通して世界の技術の高さを知ることができ、とても貴重な経験でした。
将来は、世の中の役に立つロボットの製作に携わりたいと考えており、ITキッズや世界大会での経験を生かし、高度な技術者になれるよう努力したいと思います。

・学びが面白いと思ってもらえる場の提供
講師 堀内忍(しのぶ)さん(浜松ITキッズプロジェクト推進会議委員)
デジタル分野に限ったことではありませんが、社会に出ていく中で、調べるということや、何かに興味を持つということは、非常に大事なことです。
また、そこからさらに成長していくためには、自分で課題を解決する力も必要です。講座では子供たちにデジタルを通して調べる力を身に付けてもらうことを常に心掛けています。
その一つが、楽しく学べる場の提供です。講座を受講していて、分からないことがあると、嫌になってしまいます。子供たちが正しく理解し、苦手意識がなくなっていくことで、学びが面白いと感じ、それが興味となり、その興味が自らで調べて実践する自主性へとつながっていきます。
情報という分野が、世の中で重要視されている中、デジタル技術に触れながら、学びが面白いと子供たちに思ってもらえる場の提供が、私たち社会人講師に課せられた使命であると思っています。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

       

広報プラスーはままつー

MENU