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【連載】はままつ文化財の散歩道

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静岡県浜松市

■第12話文化財建造物でお食事を
古民家カフェ。はやっていますね。古い建物の活用方法として、市内でも見掛けることが多くなってきました。中には、文化財に指定されている建物もあります。
天竜区春野町堀之内にある「la vie libre(ラ・ヴィ・リーブル)」は、明治一〇年(一八七七)創業の「松本屋旅館」(市認定有形文化財、建物は大正四年(一九一五)の移築)をリノベーションしたお店です。ガラス張りの引き戸を入るとまず目に入るのは、柱に掛かる古時計と「電話室」の文字。壁際には、旅館で使われた和箪笥(わだんす)が並び、往時の旅館の雰囲気を味わいながら、春野産の食材を使った食事を楽しむことができます。
「雨漏りなどのメンテナンスは大変だけれど、人が入れば家は傷まない」と話すのは、古いものが好きというカフェのオーナーさん。歴史の面影を生かした温かい空間は、旅館業時代と変わらず訪れる人々を和ませています。
食事が楽しめる文化財建造物は、このほかにもいくつかあります。北区細江町気賀にある吉野屋は、国の登録有形文化財。昭和二年(一九二七)から一〇年(一九三五)にかけて建てられた旅館建築です。おもてなしを目的にした建物だけに、変化に富んだ木材や奇抜ともいえる意匠を凝らした内装が目を引きます。
この地は元々、江戸時代の旗本、近藤家の陣屋があった所です。陣屋の名残を伝える立派な庭園を眺めながらいただく割烹料理は、殿様気分が味わえること請け合いです。
江戸時代の食事に関わる歴史考証も進んでいます。漁業のまち西区舞阪町では、東海道舞坂宿を中心に、伝統的な生活文化が息づいています。会食の際に共同利用していた古い食器を活用して、舞坂宿に宿泊した武士階級の接待メニューを忠実に再現する試みが続けられています。
日の出まで夜通し会食する地元での風習にちなんで「お日待ち御膳」と名付けられた再現料理。旧舞坂脇本陣(市指定有形文化財)で試食するイベントも行われました。歴史的建造物をまさに、五感で味わえる貴重な体験事業といえますね。(文:浜松市文化財課)

https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/bunkazai/shitei/maisaka/maisaka/wakihonjin.html

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