■(仮)浜松医工科大学を実現しよう
静岡大学浜松キャンパスは、今年開校100周年を迎えました。現在は工学部と情報学部から構成されていますが、前身は1922年に開校した浜松高等工業学校です。浜松はものづくりの街として発展してきましたが、浜松の製造業を支えていただいたのは、浜松高等工業学校やその後の静岡大学工学部の卒業生です。
最近はベンチャー企業育成にも積極的に取り組まれており、これまで浜松キャンパスから生まれた大学発ベンチャー企業は36社にのぼり、浜松市が進めるスタートアップ施策にも積極的に協力していただいています。
一方、地元浜松市をはじめ、全国の医療現場へ多くの人材を送り出していただいているのが、浜松医科大学です。新しい日本医師会会長は、浜松医科大学出身ですし、現浜松市医師会会長も浜松医科大学出身です。近年浜松医科大学も医療系ベンチャー企業の育成に熱心であり、浜松医科大学発のベンチャー企業も生まれ始めています。
浜松を代表するこの2大学は、既に以前より医工連携事業を推進しています。その連携の流れの中で、将来を見据え取り組みが始まっているのが、浜松医科大学と静岡大学浜松キャンパスを再編し(仮)浜松医工科大学をつくるという構想です。日本は本格的に人口減少時代に突入し、大学進学年齢である18歳人口も、今後大幅に減少することが予想され、大学の淘汰の時代が到来します。こうした中、地方大学が生き残るためには、他大学との差別化に取り組み「選ばれる大学」になることが必要です。この大学再編が実現すれば、医学、工学、情報学という日本初の学部構成による先鋭的な大学が誕生します。偏差値は大幅に上昇し、優秀な学生が全国から集まることは間違いありません。新大学は研究開発でも人材育成でも、日本を代表する大学の一つになることでしょう。既に県内外の教育関係者から早期の実現を期待する声が寄せられています。また医師会などの医療関係者からの期待や商工会議所をはじめとする地元経済界からの期待も日に日に高まっています。
しかし静岡キャンパスをはじめとする静岡側が、この取り組みに反対しています。静岡のためにも、日本のためにもなるチャレンジに、反対するという姿勢は理解に苦しみます。
既に教養課程も浜松に移され、浜松キャンパスの学生は、4年間浜松で教育が完結します。およそ100キロメートルも距離の離れた静岡キャンパスと浜松キャンパスは、既に独立した大学になっています。従って相手の足を引っ張るのではなく、それぞれのキャンパスが将来ビジョンを描き、行動を起こすべきです。
時間が経てば経つほどチャンスを逸します。静岡大学は早期に英断を下してほしいと願います。
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