■大河ドラマでコロナ禍を吹き飛ばす
今月号の特集は、三方ヶ原の戦いから450年です。三方ヶ原の戦いは、青年期の徳川家康公にとって最大の試練であるとともに、その後大きく飛躍するきっかけとなった出来事です。来年の大河ドラマ「どうする家康」でも、前半のハイライトの一つとして描かれるようです。
大河ドラマへの対応準備は着々と進んでいます。旧元城小学校跡地へ設置される大河ドラマ館の建設も順調ですし、官民連携で組織した各プロジェクトも、おおむね計画通りに進行中です。これまで静岡市や岡崎市との関わりのイメージの強かった家康公ですが、実は大きな飛躍を遂げた重要な地が浜松であることを、全国にアピールする絶好の機会です。
このドラマは、1人の弱く繊細な若者が、大名の子として生まれた宿命を背負い、必死に悩み、もがき、苦しみながら乱世を生き抜き、やがて戦国の世を終わらせ、太平の世を築く「奇跡と希望」の物語になるそうです。
作品のイメージからすると、浜松が取り組んでいる「出世の街」と非常に親和性があります。「出世の街」の取り組みは、浜松城が「出世城」と呼ばれていることに、着目したのが始まりです。由来を調べてみると、家康公が29歳から45歳という人生で一番重要な時期を浜松で過ごし、この間に5万石の小大名から100万石の大大名に飛躍し、天下平定の礎を築いたことが分かりました。また明治以降も、山葉寅楠氏、鈴木道雄氏、本田宗一郎氏など、世界的な経営者を次々と輩出したことから、浜松はまさにドラマのコンセプトである「奇跡と希望」に満ち溢れた「出世運」の根付く街であると思います。ここから浜松のシンボルである市のキャラクター「出世大名家康くん」も生まれました。来年のドラマ放送中も大いに活躍してくれると思います。
私のイメージする「出世」は、高い地位に上りつめるという成功のことだけを指すのではなく「大きな志」を実現するという意味も含みます。徳川家康公にも、戦国の世を終わらせ、太平の世を築きたいという大きな志がありました。決して権力を手中にすることだけが、目的だったわけではありません。時代に翻弄(ほんろう)されながらもその大志を実現し、徳川の平和な時代の幕を開いたという点が家康公の真骨頂であり「どうする家康」のテーマでもあります。
従って、間違いなくドラマの主たる舞台は、家康公が必死に悩み、もがき、苦しみながら大きく成長を遂げた地「浜松」になります。それを裏付けるかのように、主演の松本潤さんが、既にひそかに浜松を訪問されています。
来年の大河ドラマを、コロナで疲弊した地域経済を回復させる起爆剤にしたいと思います。
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