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【特集】三方ヶ原の戦いから450年〜語りつがれてきた伝承と新たに分かってきたこと〜・2

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静岡県浜松市

■その3 三方ヶ原の戦いにまつわる伝承
◇逃げる徳川家康が残した伝承?
二俣城を攻略した武田軍は、元亀3年(1572)12月22日に浜松方面に進軍します。
これに対して徳川軍も浜松城を出ます。そして、三方ヶ原で徳川軍と武田軍との間で戦いが起こります。戦いの結果は徳川軍の敗北となります。
当時の史料が少ないため、戦いそのものの様子を詳細に知ることはできませんが、この戦いにまつわる伝承が市内には多く残されています。
「小豆餅」や「布橋」など現在に残る地名の由来も、三方ヶ原の戦いにまつわる伝承として語られてきました。それらの中には、徳川家康が敗走し、浜松の人々に助けられ身を隠したり、そのお礼に褒美を与えたりという話も多く残っています。

■その4 三方ヶ原の戦いのその後
◇天下人徳川家康はその後の歴史にも影響を与えた?
武田信玄に大敗した徳川家康でしたが、三方ヶ原の戦いの翌年(1573)に武田信玄が病死したことで反攻を開始し、長篠城を奪取するなどします。
天正3年(1575)5月には、織田・徳川連合軍が、長篠の戦いで武田軍に勝利。織田信長の死後は、甲斐・信濃も支配し5カ国を治める大名となりました。
慶長5年(1600)関ヶ原の戦いにおける勝利を経て、天下人の地位を確立し、慶長8年(1603)には征夷大将軍となります。
江戸時代の人々は、自らの家や集団の歴史を天下人となった徳川家康に結び付けて主張することを多く行いました(例えば先祖が徳川軍として戦争に参加したという由緒)。そこには、天下人とのつながりを誇りとしながら、そのつながりを根拠として、税の負担の軽減を求めるなど、現実的な側面もみられます。
※歴史上の人物の敬称は省略しています。

■その5 徳川家康の由緒
◇【interview】江戸幕府に毎年献上されていた徳川家康ゆかりの食べ物「光明(こうみょう)の勝栗(かちぐり)」
徳川軍と武田軍との光明山(天竜区)での戦いの最中、徳川軍に加勢した光明の農民が「搗栗(かちぐり)」を徳川家康に献上したところ「光明搗栗は功名勝栗なり」と、とても喜んだそうです。これ以降、地元の人たちは将軍家に「光明の勝栗」を毎年献上しました。
この光明の勝栗をおよそ150年ぶりに復活させた「光明勝栗保存会」のお二人に話を聞きました。
▽光明勝栗保存会
鈴木茂宣(しげのぶ)会長(左)と鈴木冠(たかし)さん(右)
勝栗は、昔から保存食として利用されていて、勝ちに導く縁起のいい食べ物として、戦場に持っていく人が多かったようです。
地元では、幕末まで江戸の将軍家に毎年献上していましたが、明治維新以降は、それもかなわなくなり、勝栗を作る風習も途絶えてしまっていました。
数年前、知人から「久能山東照宮で毎年2月に執り行われる御具足祭(おんぐそくさい)のお供え物のひとつに勝栗がある。光明の勝栗を再現して奉納してみたらどうか」と提案されたことをきっかけに、再現に挑んでみることにしました。
しかし、150年もの間、途絶えていたものを再現するのは苦労の連続でした。作り方はとてもシンプルですが、乾燥させた栗の薄皮をむく作業はとても大変で、東照宮に奉納できたときは、素直にうれしかったですね。
縁起物ということで、高校受験を控える地元の中学3年生に、勝栗をお守り袋に入れて渡すこともできました。生徒の喜んでくれる姿は、作る励みにもなります。
栗の収穫量によって生産に不安定な部分もありますが、これからも、地域の伝承を残していくために、作り続けていきたいと思います。

■「三方ヶ原の戦い450年関連展示」を開催します!
◇【博物館特別展】「三方ヶ原の戦いと家康伝承」
三方ヶ原の戦いは、当時の歴史にとって大きな影響を与えた戦いでした。戦いに至る経緯などを近年の研究成果も取り入れて紹介します。
また、三方ヶ原の戦いはさまざまな伝承を残し、その後の浜松の歴史にとっても大きな影響を与えました。家康にまつわる「家康伝承」を市民協働で調査した「家康伝承調査事業」の成果も紹介しながら、後世の人々にとっての徳川家康のイメージについても展示します。
会期:10月22日(土)〜12月4日(日)9:00〜17:00
※休館日は月曜日と祝日の翌日(11月4日)
▽講演会
日時:11月12日(土)13:30〜15:30
会場:地域情報センター
内容:徳川家康三方ヶ原戦役画像の謎
講師:原史彦(ふみひこ)さん(名古屋城調査研究センター)
▽ワークショップ
日時:11月3日(木)
(1)10:00〜11:30
(2)13:30〜15:00
内容:錦絵を組み立ててみよう
対象:小学5年生以上
▽ギャラリートーク
日時:10月29日(土)、11月26日(土)、12月1日(木)10:00〜10:30
※講演会とワークショップは申し込みが必要です。応募者多数の場合は抽選となります。詳細は博物館のホームページで

https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/hamahaku/

問合せ:博物館
【電話】456-2208

◇【美術館企画展】名刀泰平を切り開く-戦国から江戸へ-展
芸術の域にまで達した名刀の数々と、泰平の世を迎えた江戸の絵画や茶道具を紹介します
会期:10月15日(土)〜12月4日(日)9:30〜17:00(入館は16:30まで)
(休館日は月曜日)
▽ギャラリートーク(日本刀の見方を解説)
日時:11月6日(日)・20日(日)14:00〜14:30
定員:20人程度
※詳細は、浜松市美術館ホームページで

https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/artmuse/

問合せ:美術館
【電話】454-6801

◎この特集に関するお問い合わせは、博物館へ
【電話】456-2208

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