• 今日21/18
  • 明日25/17
文字サイズ

浜松国際ピアノコンクールの魅力と浜松国際ピアノ・フェスティバル2021(1)

4/33

静岡県浜松市

第11回浜松国際ピアノコンクール(以下「浜コン」)が、新型コロナウイルスの影響により中止となりました。
今月は、前回の出場者と運営スタッフへのインタビューなどから浜コンの魅力に迫るとともに、11月に開催する代替イベントについて紹介します。

◆浜松では、世界での活躍を目指す若手ピアニストを対象にした「浜松国際ピアノコンクール」が、3年に1度開催されています。
ピアノコンクールというと「クラシック音楽=高尚なもの」というイメージを持っている人が多いかもしれません。
しかしステージで繰り広げられているのは、スポーツ競技などと同じく、上位入賞に挑む若きピアニストたちの華麗で、かつ熾烈(しれつ)な戦いです。
ピアノコンクールを題材にした「蜜蜂と遠雷」の著者恩田陸さんがこの小説を執筆するきっかけとなったのは、あるピアニストのドラマチックなストーリーが興味深かったからだそうです。
クラシック音楽は難しそうと感じている人も、そこで繰り広げられるドラマチックな光景を楽しむところから始めてみてはいかがでしょうか。

▽小説のモデルにもなりました
2017年に「第156回直木三十五賞(直木賞)」と「第14回本屋大賞」のダブル受賞を果たした「蜜蜂と遠雷」。この小説のモデルになったのが、浜松国際ピアノコンクールです。
作者の恩田陸さんは、第5回の浜コンの書類選考で落選したラファウ・ブレハッチさんが、その後のオーディションで這い上がり最高位を獲得。後に開催されたショパンコンクールでも優勝したというエピソードが面白くて、この小説を書こうと思ったそうです。

■浜コンの裏側をちょっと紹介
【私が紹介します!】大石聡子(さとこ)さん(浜松市文化振興財団職員)
▽浜コンで自慢できることは?
練習環境ですね。海外のコンクールでは、遠く離れた大学の音楽室が練習場所なんてこともよくあるそうですが、浜コンの場合は市内の楽器メーカーに何十台ものピアノをアクトシティ浜松の会議室などに搬入してもらい、練習場所を提供しています。楽器のまち浜松だからこそできることだと思います。
▽コンクール以外での楽しみ方は?
予選を通過できなかった出場者が、市内の公共施設などを会場にしたミニコンサートに出演してくれます。コンクールはちょっとハードルが高いという人におすすめです。
▽コンクールで使用するピアノはどこのメーカー?
本番用のピアノは、ヤマハとカワイ、そしてスタインウェイの計3台を運営側で用意し、出場者が事前に本番のステージ上で弾き比べをして選びます。各ピアノメーカーには公平に時間が割り当てられ、毎日万全な調律が行われます。
▽出場者のコンクール期間中の過ごし方は?
海外からの出場者は、街中でお酒を飲んだり、日本食を楽しんだりする人も多いようです。前回のコンクールでは、ある出場者が路線バスで中田島砂丘まで毎日行って、海を眺めていたと聞きました。他にも浜松城の見学に行くなど、浜松を満喫している人が多いと聞いています。

■【interview】第10回浜コンに出場し、第4位を獲得した今田篤さん(掛川市在住)に浜コンについて聞きました。
▽他のコンクールと浜コンとの違いは?
予備予選の通過人数が他のコンクールに比べて非常に多いのが特徴だと思います。(一般的なコンクールは24〜36人程度ですが、浜コンは80人以上が選ばれます)
予備予選通過人数が少ないと、才能があっても経験が少ないピアニストが埋もれてしまう可能性があります。浜コンは、予備予選通過人数が多いので、現地で審査してもらうことができ、審査委員の反応もわかるため、ピアニストにとっては、成長させてもらえるコンテストだと思います。
▽ピアニストから見た浜コンとは?
海外のピアニストのほとんどが、浜松という名前は知っています。
それは、浜コンがレベルの高いコンクールだと認められているからだと思います。歴代の上位入賞者の多くがアーティストとして世界で活躍していることをみれば、当然のことだと思います。
▽ピアニストの視点でコンクールの楽しみ方を教えてください
ピアニストは、プログラム(曲の構成)に何かしらのテーマを決めてコンクールに臨みます。同じ曲でもテーマが異なれば表現方法も変わってきます。コンクールは、多くのピアニストが出場するので、それぞれの個性が感じられると思います。ピアニストの個性を楽しんでみてください。
▽浜松の皆さんへメッセージ
コロナによって活動が制限された分、ピアニストには、これまで以上に真剣に音楽に向き合う時間が与えられました。より成長した姿が披露できるように、皆さんにお会いできる日を楽しみにしています。
●今田篤(いまだあつし)さん(ピアニスト)
1990年(平成2年)掛川市生まれ。東京芸術大学卒業後、英国王立音楽大学修士課程、ライプツィヒ音楽大学演奏家課程を修了。2016年に世界三大コンクールのひとつであるエリザベート王妃国際音楽コンクールでファイナリスト入賞を果たす。浜コンには2018年の第10回に出場し、第4位を獲得。現在は日本を拠点にコンサート活動を展開。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

       

広報プラスーはままつー

MENU