■浜松国際ピアノコンクール
市制80周年を記念し、「音楽のまちづくり」の象徴的事業として始まった浜松国際ピアノコンクールは、今年、第11回を開催する予定でした。しかし、新型コロナウイルスの影響で、海外からの参加者が日本に来ることができないことから、中止を余儀なくされました。本当に残念です。
浜松国際ピアノコンクールは、関係者の皆さまのご努力で、今や世界有数のコンクールへと発展しました。日本国内には、他にもさまざまなピアノコンクールがありますが、アメリカとドイツに本拠を置くスタインウェイとともに、世界三大ピアノメーカーと称されるヤマハとカワイが本社を置く「ピアノのまち浜松」は、コンクール開催に最もふさわしいまちだと思います。
コンクールの顔である審査委員長の業績も重要です。浜松国際ピアノコンクールを世界的なコンクールに育てていただいたという点で忘れることができないのは、故中村紘子先生です。中村先生は、第3回から第7回まで審査委員長を務められ、この間アジアで初めてとなる「国際音楽コンクール世界連盟」への加盟に尽力されるなど、浜松を世界へ押し上げてくださいました。中村先生の後任として、第8、9回は、パリを拠点に活躍されている海老彰子先生、そして第10回は、ロンドンを拠点に活躍されている小川典子先生に審査委員長を務めていただきました。海老先生、小川先生にも、それぞれの個性と世界的な人脈の中で、さらに一流のコンクールへと磨き上げていただきました。
そうした中、第11回のコンクールには、過去最多の参加申し込みがあり、さらなる飛躍を期していただけに残念でなりません。しかし、コンクールは中止しても、ただ手をこまねいているわけではなく、次につながる取り組みを行ってまいります。
具体的には、「浜松国際ピアノ・フェスティバル2021」と銘打ち、ピアノコンクールに関連する演奏会などの複数のイベントを実施します。その中のメインイベントは、第11回のコンクール申込者の中から希望者を募り、コンクールで使用予定であった委嘱作品の演奏をオンライン上で競っていただくという企画です。この模様はオンラインで配信するとともに、同時に「投げ銭機能(スーパーチャット)」を試験的に実施し、視聴者にコンクールを支援してもらう実験も行います。
コロナの影響でデジタル化が進み、コンサートなども、ライブとオンラインのデュアルモード(二重の様式)がすっかり定着しました。第12回浜松国際ピアノコンクールが実施される3年後は、人類はコロナを克服しているでしょうが、デュアルモードなどの新しい生活様式はますます進んでいると思います。私たちはそうした社会を見据え、浜松国際ピアノコンクールのさらなる飛躍に向け、今から周到に準備を進めてまいります。
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