■第4話 まちの中にも文化財!
文化財というと、浜名湖北岸の寺社や、北遠の山里に伝わる芸能などを思い浮かべますが、実は中心市街地も文化財の宝庫として知られています。
浜松市では、地域から推薦された文化財を認定する「浜松地域遺産認定制度」があり、二〇二一年には中区肴(さかな)町にある商店の建物や道具類が市の認定文化財に加わりました。
その中の一つが、かつお節や乾物を取り扱う「松作(まつさく)商店に残されている金庫」です。大正初期の製作で、戦火もくぐり抜けた年代物です。この他の認定文化財には「不二丘料理店の三味線」、「伊東商店の鰹(かつお)節削り機」、「天ぷらの桝形の半纏(はんてん)と丼」、「弁いちの婚礼献立」などがあり、変わったところでは、「山口屋寿司店のかまど炊き」なんてものもあります(通常非公開の認定文化財が多いのでご注意ください)。
浜松中心街には、かつて多くの劇場や寄席がありました。その一つが大河ドラマ「いだてん」にも登場した肴町の勝鬨(かちどき)亭です。明治から大正にかけて寄席として営業し、若き日の古今亭志ん生(ここんていしんしょう)や柳家金語楼(やなぎやきんごろう)などの落語家たちが出入りした人気スポット。現在は「かちどきビリヤード」にその名をしのぶことができます。
この他、肴町や千歳町などには芸妓(げいぎ)が所属する芸妓置屋(おきや)があったほか、千歳町には中央検番があり、芸妓の派遣や稽古などを統括し、今とは違う盛り場のにぎわいをみせていました。
身近なまちにも歴史があり、多くの資源が埋もれています。読者の皆さん、身の回りを見渡してみてください。気付かないところに文化財があるかもしれません!
(文:浜松市文化財課)
◆浜松市博物館巡回展「まちの盛り場」を舞阪郷土資料館(西区舞阪町舞阪)で展示します。(10月3日(日)~11月28日(日))
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