■未来に向けたキーワード「持続可能性」
最近、英語の「サステナブル」あるいは日本語の「持続可能性」という言葉を、よく耳にすることはありませんか?
私はこの言葉が、未来に向けたキーワードとして、今後最も重要な言葉になるのではないかと思います。
まず大きな視点では、地球環境の問題があります。世界は今、新型コロナウイルスという未知のウイルスと闘っていますが、これは森林破壊や温暖化によって、閉じ込められていたウイルスが人間社会に侵入したものであると言われていますし、今後新型コロナウイルスのような未知の病原体は、さらなる森林破壊や北極・南極の氷解によって、次々と発生するのではないかとも警告されています。
地球温暖化の関係で、さらに深刻なのは異常気象です。毎年想定外の豪雨災害が、世界各地で発生するようになり、年々回数も増え、規模も大きくなっています。このまま放置すれば、人類が生存の危機に直面します。そこで国連を中心に、持続可能な地球環境を取り戻す取り組みが始まっています。2015年に全ての国連加盟国が承認したのが「SDGs(エスディージーズ)」ですが、これは「サステナブル・デベロップメント・ゴールズ」の略で、日本語では「持続可能な開発目標」という意味になり、まさに人類全体が、地球環境の「持続可能性」に向き合わなければならなくなったことを示唆しています。
持続可能性は環境問題だけではありません。国や自治体の財政問題、公共施設などのインフラの問題にも関わってきます。ご承知のように日本は世界一の借金大国であり、コロナ対策でさらに借金が増えています。私は既に危機的な状況に陥っていると考えています。コロナが収束すれば、財政健全化に本気で取り組まなければ国家財政が破綻します。国と連動している自治体も例外ではありません。私が市長就任以来、財政健全化に取り組んでいるのは、いかに「将来にツケを残さない持続可能な財政運営を行うか」ということを重視しているからです。
「笹子トンネルの崩落事故」や「原田橋の落橋事故」で明らかとなった公共施設や道路などのインフラの問題も同様です。今後老朽化する膨大な量のインフラ資産を、どう維持更新していくのかということは大きな課題です。人口減少が顕著となり、併せて経済成長による税収増も望めない時代に、限られた財源の中でのやりくりを考えると、今ある全てのインフラ資産を維持していくことは不可能です。そこで公共施設の統廃合や長寿命化などを進めながら、国全体として持続可能な資産経営を進めていかなければなりません。
身近なところでは、少子高齢化などの影響により崩壊するコミュニティを立て直し、いかに持続可能な地域社会をつくっていくかという課題もあります。こうしてみると、「サステナブル」「持続可能性」は、あらゆる分野に関わってくる、ますます重要な言葉になっていくことは間違いありません。
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