■未来に向けた健全な財政運営
全国の自治体では、予算編成の時期を迎えています。浜松市も令和3年度予算編成を終え、議会の議決を経た後、執行に向けて準備を進めています。
今年は新型コロナウイルス感染症による経済への深刻な影響があったため、全国的に大幅な税収減となりました。浜松市も同様であり、比率では20政令指定都市の中で、最も減収の割合が高くなりました。そうした中でも、事業の選択と集中を徹底しながら予算を編成しました。結果として例年より基礎的財政収支は悪化しましたが、全体では中期財政計画の目標達成に向けて、黒字を確保しました。
私は市長就任以来、「将来世代にツケを回さない」、「持続可能な都市経営」などに心掛けてきました。そのためには、市の負債を少なくして健全な財政運営を行うことが必要です。そこで市債(市の借金)を1100億円以上削減したり、外郭団体改革などを行ったりした結果、財政は見違えるように健全になりました。
夕張市が財政破綻した後、毎年全ての自治体が、財政の健全性を示す「健全化判断比率」という数値を公表しなければならなくなりました。4つの指標で構成されています。もちろん浜松市は4指標とも問題ありません。中でも将来の財政リスクを示す「将来負担比率」という指標の計算において、20政令指定都市の中で、本市を含め2市だけがマイナスです。この指標は市債などの借金に加え、債務保証などの隠れ借金も含めた全ての負債から、市が使えるお金を引いた額を、年間の財政規模で割った数字であり、数字が大きければ大きいほど将来の財政リスクも大きいということになります。浜松市の数値がマイナスということは、借金などより充当できる資金の方が多いということを意味し、計算上は無借金ともいえます。
一方、不測の事態に備え、財政調整基金という貯金も100億円くらいは常に用意していますので、突然発生したコロナ危機においてもこれを活用し、速やかにさまざまな対策を講じることができました。改めて平時に財政を健全化しておくことの必要性を痛感しました。
今後ますます少子高齢化が進むため、税収が増えることは期待できない一方、社会保障費などは増加しますので、財政運営は年を追うごとに厳しくなることが予想されます。またこの地域でも、いずれ南海トラフの巨大地震のような大災害が発生することは確実です。こうした未来のリスクを想定すれば、平時にできる限り財政を健全化しておくことが必要です。コロナが収束すれば、再び規律を保った財政運営に努めてまいります。
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