■本格的な地方分散が始まる
全国的に新型コロナウイルスの第1波が収束しつつあり、緊急事態宣言も解除されました。しかしコロナウイルスが消えたわけではありません。今後私たちは、コロナウイルスの感染に注意しながら、「3密」を回避する「新しい生活様式」で生きていかなくてはなりません。
コロナのような巨大な危機は、世の中の価値観を根本から変えてしまいます。今回の重要な価値変化は、「都市と地方の関係性」ではないかと思います。
コロナ以前は、大都市にあらゆる機能や人を集中させることが効率的で、メリットが大きいと考えられ、一部の都市にどんどん「密」が造られてきました。しかし今回のコロナウイルスの感染拡大で、いかにそれが脆弱(ぜいじゃく)で危険であるかということが暴露されました。東京だけでなくニューヨークもパリもロンドンも、世界中で大都市が壊滅したことが証明しています。
一方、コロナウイルス対策で外出が禁止され、多くの企業でテレワークが実施されましたが、会社に集まらなくても十分仕事ができることが実証されました。私の知人が経営する東京のベンチャー企業は、テレワークでむしろ生産性が向上したため、オフィスを全て引き払って、本格的にテレワークに移行するそうです。
こうした傾向が進めば、今後はおのずと「密」のリスクを抱えた大都市から企業や人が「開放された空間」に恵まれた地方へ分散していくと考えられます。
既に敏感な自治体は受け皿づくりに動き始めていますが、私は他地域に比べ、浜松は数々の優位性があると考えます。
第一に、開放空間を求めるといっても、何もない田舎は、生活の不便さから敬遠されるはずです。その点浜松市は、中部圏で名古屋市に次ぐ第2の規模の都市であり、基本的な都市機能は完備していますので、都会から移動された人が困ることはありません。
第二は、「国土縮図型都市」と称されるように、都市部から中山間地域に至るまで、多彩な地域特性を有している上、山、川、湖、太平洋など、あらゆる自然にも恵まれていますので、他地域よりも豊かな暮らしをすることができます。
第三は、東京、大阪、名古屋などへのアクセスが良いことです。いかに地方分散が進むといっても、大都市の機能がなくなるわけではありません。時には東京や大阪、名古屋などへ出掛けることも必要になりますが、その際、浜松は、東京、大阪におよそ1時間半、名古屋に30分という立地にあります。この地勢的条件は、圧倒的に有利です。
第四は、浜松には昔から「よそ者」に対して寛容な気質があることです。よそから来た人が、以前から住んでいたような感覚で、心置きなく活動や生活ができることはとても重要な要素です。
以上のように浜松市は、大都市が分散化される時には、絶好の受け皿になりますので、チャンスを逃さないようしっかり取り組んでまいります。
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