■未知の脅威に備える
この記事が皆さまのお手元に届く頃、新型コロナウイルスの脅威はどうなっているでしょうか。恐らく、まだまだ厳しい状況が続いていることと思います。
今回のような想像もしなかったウイルス感染の脅威や大災害が、近年頻繁に発生するようになりました。私が市長に就任してからこれまでの間にも、リーマンショック、東日本大震災、豪雨災害、新型インフルエンザ、そして新型コロナウイルスと、矢継ぎ早に大災害や大事件が起こっています。
戦後1度も中止することのなかった浜松まつりが、私の任期中に2度も中止に追い込まれたことや、オリンピック・パラリンピックが、歴史上初めて延期に至った事態が、そのことを象徴しています。
ではなぜこうした災害が起こるようになったでしょうか。私は3つの要因があると思います。1つ目は大地震などの周期的な自然災害です。これは地球自体の活動の結果として起こるものであり、不可避のものとして受け止めなくてはなりません。ただし、周期的に起こるため、ある程度予測ができますので、地震への備えのように、事前に対策を講じることができます。2つ目は地球温暖化による豪雨災害のように、人間の活動によって、地球環境を変えてしまうことで起こる災害です。3つ目はグローバル化が進んだことによって起こるリスクです。今回の新型コロナウイルスも、地球規模での人の大移動がなければ、中国国内のウイルス感染問題で済んでいたかもしれません。
こうしたリスクは、今後も頻繁に発生することが予測できます。そこで私は、平時からできる限りの備えをしておくことが、大事ではないかと考えています。
例えば財政です。コロナ問題が長期化した場合、感染対策や経済対策で多額の費用が必要となります。国だけでなく、市としても財政出動していかなくてはなりません。こうした事態に備え、平時に財政を健全化しておけば、余裕をもって対応できます。私が就任してから市債を1000億円削減しましたから、就任時まで戻すことが許されるなら、1000億円の対策費を講じることもできます。国は既に膨大な借金を抱えていますので、思い切って国債を発行して、大胆な対策を打つことが難しくなっています。やはり平時に、財政をできるだけ健全化しておくことは重要だと改めて感じました。
また、浜松市は先日「浜松市域RE(アールイー)(※)100宣言」を行いました。これは2050年までに、100%再生可能エネルギーに転換するという表明です。地球温暖化による脅威は、人類の努力によって阻止することができます。私たちも責任を果たさなくてはなりません。
今後世界は、ますます多くの脅威にさらされていくと思われます。そこで私たちは英知を絞って、そうした脅威に備えていかなければなりません。市にとっても大きな課題です。
※Renewable Energy:再生可能エネルギー
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