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人生会議─最期まで、自分らしく生きるために─・2

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静岡県浜松市

人生会議手帳を使って人生会議をしてみよう
市では、市内の医療・介護の専門職などによる地域包括ケアシステム推進連絡会を中心に「人生会議手帳」を作成し、昨年12月に発行しました。

▼人生会議手帳は、各区役所の長寿保険課もしくは市内の地域包括支援センター(高齢者相談センター)で配布しています。市ホームページからもダウンロードできます。
【市HP】「人生会議手帳」で検索

◆人生会議手帳のコンセプト
「自分の思いを大切な人と共有するきっかけとなること」や「1人でも書けるような分かりやすいものにすること」などを意識して、さまざまな現場の人の意見を取り入れながら手帳の作成を進めていきました。
手帳を使った人が、その後の人生を、その人らしく生きられることを願っています。

▽手帳作成に携わった
まちの看護相談室Live代表
がん看護専門看護師
番匠(ばんじょう)千佳子さん

◆手帳の内容を一部紹介
○「私の大切にしていること」
人生の中で、自分にとって大切なことは何かを整理するページです。
○「私の医療・ケアへの希望」
人生の最終段階における医療・ケアについて、終末期に本人の意向を確認することが多い項目などが挙げられているページです。

◆人生会議手帳の記入にあたって
・気持ちが落ち着いている時や、記入したい気持ちになった時に書きましょう。気持ちが向かない時に無理に書く必要はありません。
・まずは、正直な自分の気持ちを書き出してみましょう。
・最初から順に書いていく必要はありません。書けるところから書いていきましょう。
・手帳を大切な人に見せたり、一緒に考えてみたりしてください。その上で、変わった点は書き直しましょう。
・誕生日や元旦、お盆など、節目節目で定期的に見直しましょう。考えが変わるような出来事があった時は書き直してみましょう。
・訂正したことが分かるように二重線を引き、書き直しましょう。修正日も書いておきましょう。

手帳に書いた内容は、法律的な意味を持ちません。あくまで、人生会議を行うための手掛かりの一つとしてご利用ください。

□人生会議と人生会議手帳の活用(1)
浜松市地域包括ケアシステム推進連絡会事業部会 部会長
浜松医科大学 地域家庭医療学講座 特任教授
井上真智子さん

●人生会議を始めるタイミングは?
人生会議をするきっかけは、ふとした会話の中にもあります。例えば家族が「もしも」の話をした時には、否定せずに、「どうしてそう思うの?」と聞いてみて、その言葉にじっくりと耳を傾けてみましょう。特に親子など親しい続柄の場合は、聞き手が自分の希望や都合を言いたくなることもありますが、大切なのは本人の気持ちです。

●人生会議手帳の活用方法は?
人生会議手帳は、書くこと自体が目標ではありません。人生会議をするきっかけや過程の記録として利用しましょう。気持ちは時間の経過や心身の状況などにより変わりますので、繰り返し話し合い、本人の大切にしていることや繊細な心の動きをくみ取ることが重要です。

●私たち一人一人ができることは?
誰でも、命に関わるけがをしたり病気にかかったりする可能性があります。今、元気な人も自分のことだと捉えて、大切な人に伝えてみましょう。自分から話すことで、親御さんなども自分の気持ちを話しやすくなるかもしれません。

□人生会議と人生会議手帳の活用(2)-在宅医療医師の立場から-
在宅医療の医師
浜松市医師会 理事
医療社団法人 心 理事長
小野宏志さん

●在宅医療医師の立場から思う、人生会議の必要性は?
介護を受けるようになったときや回復が難しい病気になったとき、およそ6割の人が、病院や施設ではなく、家で暮らすことを希望しています。それにもかかわらず、在宅医療を選ぶ人は増えていません。その要因の一つには、自分の生き方についての考え方や気持ちを、十分に家族などに伝えきれていないこともあると思います。
1人で考えることも、家族や医師と何気ない会話をすることも、自分の気持ちを素直に考えられたら、それは全て人生会議です。医師や看護師も、本人の考えを聞きたいと思っています。定期的な診察などの際に、自分の理想の生き方について考えたことを、伝えてみてください。

●人生会議手帳を使う上で、大切にしてほしいことは?
自分の幸せと大切な人の幸せ、両方を考えることが大切です。ご自身のこれまでの人生を反映したものであることはもちろんで、さらに大切な人の想いも分かる手帳ができていけば、すてきですね。

◆人生会議を行ってみて
ケアマネージャーに人生会議手帳を紹介され、実際に人生会議を行った小島節子さんにお話を伺いました。

▽今まで人生会議をしたことはありましたか?
手帳を紹介してもらう前から、同窓会で、友達と人生の最期について話をすることはありました。でも、息子や娘たちには、そういった話はなかなかできませんでした。ショックを受けてしまうのではないかと心配したからです。

▽実際に人生会議手帳を見せたときの家族などの反応は?
息子に見せたら、息子は内容について否定したりせず、私の考えに納得してくれた様子でした。また、主治医にも見せたところ、先生は手帳のコピーをとって、私の思いをきちんと把握してくれました。

▽人生会議で大切なことは?
正解がないところが難しいけれど、自分の人生のことだから、自分で考えることは大切。自分で考えて、納得できればいいんだと思います。

◎この特集に関するお問い合わせは、高齢者福祉課(【電話】457-2105)へお寄せください。

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