■次に戻ってくるのは20〜30年後 アカウミガメの放流
遠州灘海岸には、毎年5月から8月にかけて、絶滅危惧種である「アカウミガメ」が産卵にやってきます。1匹の親ガメは1シーズンで3〜5回産卵し、1回で110個程度、全部で500個近い卵を産みます。
産み落とされた卵は8月中旬になると、ふ化が始まります。ふ化した子ガメは、黒潮に乗って太平洋を横断し、カリフォルニア半島の沖を目指して1万キロを超える長旅をし、大人になって日本に戻ってきます。
遠州灘海岸は日本でも有数のアカウミガメの産卵に適した砂浜で、浜松市はアカウミガメと、その産卵地を市の文化財に指定しています。浜松市では、こうした文化財が大切に守られ、次の世代に継承されるよう、親子を対象にしたウミガメ教室を毎年開催しています。
8月23日(日)、親と子のウミガメ教室の第3回「子ガメの観察会」が中田島砂丘で行われました。
海岸での野生生物の保護調査活動などを行なっているサンクチュアリエヌピーオーの調査員から、子ガメの放流の仕方をはじめ、遠州灘海岸に戻ってくるのが、およそ20〜30年後であることや、生存率が低いことなどを聞いた後、子供たちは1人1匹ずつ子ガメを手にして、海に向けて放流しました。
参加者たちは、放流した子ガメが海を目指して懸命にはい、大海原に向かっていく様子を、見えなくなるまで見守っていました。
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